あわいについて
About同じ夜の、遠いところへ。


夜を、旅する
About深夜特急〈あわい〉は、夜行列車でひと晩を過ごす、一夜かぎりの旅です。
急ぐ旅ではありません。街が寝静まるころに発ち、車窓を流れる灯りを眺めながら、朝までの時間をゆっくりとお過ごしいただきます。
個室の寝台で眠り、ラウンジで一杯のお茶をいただき、窓辺で夜の平野を見送る。着くことよりも、その一晩そのものを楽しんでいただくための列車です。
電源も、絶え間ない知らせもありません。持ち込むのは、夜をながめる時間だけ。手のなかの明かりを消すほど、この列車はゆたかになります。
夕暮れから翌朝まで、あなただけの静かな時間をお届けします。

夜を旅するということ
Philosophy座席に身をあずけているあいだも、列車はひと晩をかけて遠くへ進んでいきます。身体は止まっているのに、いつのまにか知らない土地へ運ばれている——夜行列車には、そんなふしぎな時間が流れています。
窓の外では街が眠り、灯りだけが静かに流れていきます。急ぐでもなく、立ち止まるでもなく、ただ夜のあいだを進んでいく。その感覚を、〈あわい〉はいちばん大切にしています。
個室のなかはひとりきりでも、この夜を旅しているのはあなただけではありません。遠くの家にも、踏切のむこうにも、隣の個室にも、それぞれの夜があります。交わることはなくても、同じ夜のなかにいる——そんな遠さと近さを、車窓は静かに教えてくれます。
だからこの旅に、大きな目的地は要りません。眠って、目をさまして、また窓の外をながめる。その繰り返しのなかで過ぎていく一晩そのものを、旅としてお届けします。
コンセプト
Concept列車の名前「あわい」には、ふたつの意味を重ねています。
あわい
昼と夜のあいだ、時と時のあいだ。ものごとの境目や、その静かな時間を指す、日本語の古いことばです。
夜明け前の、淡くやわらかな光。同じ音のことば「淡い」には、そんな情景が重なります。
しるしは、地平線にかかる細い月。夜と朝、空と地の「間(あわい)」をひとつのかたちに。遠くには、灯りをひとつ。
意匠は制作中です。
一日のいちばん静かな時間の名を、そのまま列車の名前にしました。
- 夜
夜がおとずれ、発つほどに、ふかくなる。
- 遠
身体は動かないのに、いつしか、遠くへ運ばれていく。
- 静
走行音にも慣れ、それも遠のき、しずけさへ沈む。
- 眠
揺られるうちに、身をあずけて、まぶたが重くなる。
- 間
夢か現か、過去か未来か、まざりあう場所へ。
沿革
Historyはじまりは、まだ多くの列車が夜を駆けていた時代のこと。人と荷を乗せて平野を往き来する夜行のひとつとして、〈あわい〉は走りはじめました。
深夜特急〈あわい〉は、それから平野をむすぶ夜行列車として走りつづけてきました。ひと晩をかけて、霧のかかる平野を北へ。かたちを大きく変えることなく、いまも同じ夜を走りつづけています。
時代が移り、多くの夜行が姿を消したいまも、〈あわい〉はやり方を大きく変えていません。きっぷは窓口で、車内には必要なだけの灯りを。古くからの様式を、そのまま今夜まで持ちつづけています。
半世紀をこえて、走り方は変わりません。今夜もいつもの時刻に、〈あわい〉は発車します。
- 1954あわい本線に、夜行の運行がはじまる。宵ノ原から暁口まで。
- 1968いまに続く編成へ、車両を新しくする。
- 1976停車する駅を見直し、いくつかの小さな駅を通過とする。
- 1989車内を改め、中ほどの号車にラウンジを設ける。
- 現在かたちを変えず、いまも同じ夜を走りつづけています。
遠くの誰かと、
同じ夜を。